今回の主役はヒグマ。
およそ100年前の日本でこんな恐ろしい事件がありました。
【三毛別ヒグマ事件】
北海道、さんけべつ(三毛別)。1匹のヒグマに8人の開拓民が殺された。日本史上最悪といわれる、最大の被害を生んだその食害事件は、書籍化もされ、過去にはアンビリーバボーなどの番組でも特集されている。
開拓民ゆえ、それまでヒグマの性質について詳しく知らなかった人々に、ヒグマの恐ろしさを植えつけるきっかけになりました。
ヒグマ
まずはヒグマをみてみましょう。
はい、ばん!
毛ふっさふさ。
うーん、可愛いですね。
猛獣なのに世界中の人々に愛されるのは、この見た目ゆえ。
クマといえば。
動物園で飼われているイメージですが、日本の山奥には野生の熊が棲んでいます。時々、人里に降りてきてニュースになったりしますよね。
本州で見られるのはツキノワグマ。
黒いクマです。
胸元に白い月形がある。
動物園にもいますね。
今回の主役はヒグマ。
日本では北海道にのみ生息しています。
彼らはエサを求めて人里におりてくる。
食材を盗られるだけならまだしも、窓ガラスが割られたり、あまつさえ家に侵入され、冷蔵庫が破壊されたりとかなりの出費がつきまとう。
それでもお金ですむのならまだ安い方です。
命をとられることを思えば…。
三毛別ヒグマ襲撃事件
目次
日本史上最悪の獣害事件
【三毛別羆事件】
(さんけべつ、ひぐま、じけん)
さんけべつ、とは惨劇の舞台となった北海道苫前郡苫前村三毛別(現:苫前町三渓)のこと。
六線沢という場所に開拓民の村があった。
大正4年。
12月9日ー12月14日にかけて。
その村で起きたのはエゾヒグマによる事件。
地元警察が出動しましたが手に負えず、軍隊に救助を要請する大惨事となりました。
概要。
エゾヒグマが数度にわたり民家を襲撃。
開拓民7名(後に襲われた時のケガが元でさらに1人と)が死亡。結果的に優秀なマタギによりヒグマが射殺されたことで事件は終結。
倒されたヒグマの体重は340kg、体長は2.7m。
立ち上がると3mを超える巨大な体格でした。
エゾヒグマって大きいんだなぁʕ•ᴥ•ʔ
こんなのに出遭ったら逃げるしか生きる道はないと思うんですけど。
(*´-`)君は熊だろう。戦いたまえよ
なっ⁉︎ ʕ•ᴥ•ʔ
こんな子熊に何を仰る
(*´-`)いいけどね…。
熊は逃げるモノを追いかける習性があるので、絶対に背中を向けて逃げてはダメですよ。追いかけてきますからね!
熊ちゃん逃げ足には自身あるよʕ•ᴥ•ʔ
(*´-`)だろうね。
熊は時速50キロで走るというから。
……え? ʕ•ᴥ•ʔ💧
(*´-`)熊ちゃんは熊だからいいけどね。
人間はなぁ〜。あのウサイン・ボルトですら逃げきることは不可能……え?
【羆に注意!】
森などでクマと鉢合わせした時は目をあわせたままゆっくりあとじさるようにしましょう。
一番は鉢合わせしないこと。
鈴を携帯し、人間の存在を知らせましょう。
クマは基本的に人間との接触を避けたがっています。そこにいるとわかっていれば、あちらも避けられますから積極的に協力しましょう。
山に入る時は準備段階で熊の目撃情報を集めておきましょう。最近クマが現れていれば入らないようにするなど注意が必要です。
最初の被害
12月9日。
沢の上流に居を構える太田家。
最初にヒグマの標的になったのはこの家の住人たちでした。
朝から昼にかけて。
当時、男達は仕事に出ており、家には女子供だけ。
当主の奥さんと、この家に養子にきた男の子(当時6歳)の2人が犠牲になりました。
ヒグマは奥さんの遺体を持ち去り、雪積もる木の根本に埋めていたといいます。奥さんを取り返しに向かった村の男たちは血に染まった雪の中からその一部を見つけます。
周りにヒグマの姿はありません。
無念の思いで男たちは遺体の一部をほりおこし村に持ち帰ります。
手厚く弔うためですが、この行為が最悪の事態を招くことになるとはヒグマの習性を知らなかった人々は思いもよらなかったでしょう。
通夜
その夜、太田家では2人の通夜が行われました。
この家に預けられていた6歳の男の子。養子になることが決まっていた。義母となる筈だった女性ともども丁重に弔われます。
しかし皆が哀しみにくれる中。轟音が家の壁を破って押しいってきた。
ヒグマの襲撃です。
実はヒグマが人里に現れたのはこれで三度目。
太田家の義母子が襲われる前にも、同家の軒先につるされたトウキビが食い荒らされており、存在が確認されていたのです。
三度目の急襲に人々は心底驚いたでしょう。
幸いにも朝とは違い、通夜のため人が集まっていた。熊を警戒して銃器が持ち込まれていた為、銃声一発でヒグマは逃げていきました。
被害は出なかったのです。
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途中ですが少し解説
ヒグマは何故、1日に二回も同じ民家を狙ったのでしょう?
最初に太田家に現れた時、家の庭先にトウモロコシが干されており、それを狙ったようです。
ならば何故、人間を襲ったのか?
目の前にエサがあるにも関わらず、人を襲ったヒグマ。これは熊の姿を見た奥方が声をあげたことで興奮状態に陥り、凶行に走ったのではないかと言われています。
悲鳴が引きがね?
人間の悲鳴は、草食動物の断末魔に似ているのだとか。オオカミが仕留めたエゾシカを横取りするなどして食べていたヒグマにとってそれは「エサがここにありますよ」のシグナルだったのかもしれません。
3回目の襲撃。
熊の目的は何だったのか?
それは村人たちが取り返してきた奥方の遺体だと推測されます。木の下に埋められていたそれは保存食だった。
人間たちにとっては何よりも尊い故人の遺体で弔うのは当然の行為ですが、熊にとってみればエサに過ぎません。
エサを奪われた。だから取り返しにきた。
ただそれだけのこと。
(*´-`)わざわざ奪い返しにくるとはしつこい熊だと思われますか?
実はこれ、熊の性質。
エサに対してひじょーに深い執着心をもつ。
オレのエサはオレのもの。奪われたら地獄の底まで追いかけてでも取り戻すゼ。という性質。
実際には匂いをたどって追いかけるので数キロ範囲内。数キロ先までわかるんですよ。犬の5倍の嗅覚ですから。
(*´-`)怖いですなあ。
狙われたら逃げきることは、ほぼ不可能。
ガクブル…ʕ•ᴥ•ʔ💦
他の被害事例をみても、人間がヒグマに奪われた物を取り返したことが原因で、狙われた事件がありました。
例えば福岡ワンゲル部の場合
昔、北海道の山奥で九州の学生たちが2日間にわたりヒグマに追いかけ回され、3人が亡くなるという痛ましい事件がありました。
野生のヒグマが学生たちの荷物を奪ったのがはじまりでした。食料を取られては登山が続行できないので学生達はヒグマからスキをみて自分たちの荷物を取り返した。
前述の熊の性質にあてはまれば、この時点で荷物はすでにヒグマの物になっているわけです。
つまり彼らはヒグマから物を奪ってしまった。
追われる原因になったのです。
同日、同じ山の中でヒグマに遭遇した北海道の大学生たちは荷物を放棄してすぐに下山しています。ヒグマに対する知識があった為に難を逃れました。
熊に縁がなかった九州の学生たち。
ヒグマに追いかけ回され、最後は荷物を放棄したものの、エサを奪う敵とみなされた為に3人が無残に殺されました。
(*´-`)怖…荷物を取り返すのはやめた方がいいということですね。
彼らヒグマは自分の持ち物に非常に強い執念を抱きます。
奪われたら取り返す。
かならず奪い返す。
それが熊の恐ろしい本能なのです。
三度目の襲撃
太田家の通夜に乱入してきたヒグマ。
銃声により追い払うことに成功しますが、このあと事件は悲惨の一途を辿ることになります。
↓三毛別ヒグマ事件はまだまだ続きます。凄惨を極めますので閲覧注意。
cumacuma-cuma.com
↓三毛別事件は本にもなっています。

慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)
- 作者:木村 盛武
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 文庫