ここで紹介するのは2003年米国で起きた有名なヒグマ事件です。グリズリー(灰色熊)が好きな男性がクマの生態を側で見守っていたら食べられてしまった話。
日本でも2022年11月に長野でクマを飼っていた男性が同じように被害に遭うという出来事がありました。
日本ではクマを個人で飼うのは難しいためこういった事件は珍しいですが、今回は野生のクマの話。
舞台はアメリカ。
現地では有名で「クマを愛しすぎてクマに食べられた男」として知られています。映画のタイトルにもなったことから「グリズリーマン」とも呼ばれています。
ティモシー・トレッドウェル。
クマに魅了された彼の人生と、その壮絶な最期をみていきましょう。
男の名は
彼の名前はティモシー・トレッドウェル。
アメリカのクマ愛好家。
クマの保護団体『Grizzly People』の創始者。
こよなくクマを愛し、彼らを守ることを仕事にしていた。
2003年10月6日、アメリカ合衆国アラスカ州カトマイ国立公園内で亡くなった。死因はクマの攻撃。46歳という若さだった。
ティモシー・トレッドウェル
彼はカトマイ国立公園にいた13年の間、毎年グリズリー(灰色熊)と夏を共に過ごしていた。
しかし13年目となる2003年10月5日。
パーク内の川で、恋人のエイミー嬢とともに鮭をとるグリズリーを撮影している最中に襲われたとみられてる。
現場には彼が死ぬ間際まで回していたカメラが残されており、2人のものと思われる悲痛な肉声が収録されていた。
異変を察知した彼の仲間が現場の川べりに到着した時、2人の姿はなくただヒグマがうろついていた。
周囲を探索すると、人間の遺体の一部分がいくつか落ちているのを発見。
ティモシーと恋人のエイミー。
2人は熊に食べられたものと推定された。
男の歩み
ニューヨーク州で生まれたティモシーは最初はふつうの高校生だった。学校では水泳が得意でスター選手。動物が非常に好きでリスを飼っていた。
大学に進むも何があったのか薬に手を出し、ヘロインの過剰摂取で危険な状態に陥る。
その次は酒に溺れた。
「薬物中毒のおかげでアルコール中毒から抜けだせた」と、本人は後に語っている。
子供の頃から動物好きだったティモシーは熊を見るためにアラスカに向かった。
自然が広がる国立公園。
そこで見たことを彼は本にまとめている。
野生の熊との初めての遭遇で、人生を賭けた仕事と言うものを見つけた。
確かに運命の出会いには違いなかった。
この出会いがなければ、彼はグリズリーに食べられることはなかったのだから。
クマという存在がティモシーを酒から立ち直らせ、仕事をもたらし、そして悲劇の死へと誘ったのだ。
グリズリー(灰色熊)とは
米国に生息するヒグマ。日本のエゾヒグマと同種ながら体格がアメリカンサイズ。米国のグリズリーの成獣は300キロから500キロにもなる。脂肪たっぷりの鮭や木の実など、すみかである川辺や森にエサが豊富にあるため。
野性のグリズリーを目の当たりにし、その魅力にとりつかれたティモシー・トレッドウェル。彼は……