クマの動物研究

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【実話だった】グリズリーの映画は食害事件で死んだ男性の遺作。消えた音声が恐ろしすぎる!

これはアラスカを舞台にした実話。
アメリカに生息する灰色熊による食害事件。その後半です。

⇩前半はこちら。
グリズリーマンの死因は?【愛する熊に食べられた男】 - クマの動物研究



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世界のヒグマ事件
「グリズリーマン」後半


ティモシーは毎年、国立公園の沿岸でキャンプをして初夏を過ごした。
クマを見るためだ。

「ハイイログマの聖域」と呼ばれる場所。
彼は観察対象であるクマに異常なほど接近することで知られており、時にはその身体に触れたり、子供のクマと遊んだりした。

「いつも熊に注意して行動しており、この行為は動物との信頼を育むものである」
と彼は主張。


また遭遇したクマを名付け、毎夏一貫して同じクマを観察することにより、「彼らとの永続的な関係を築いている」のだそうだ。

日本でヒグマといえば北海道。エゾヒグマの性質をよく知る現地の方ならば、彼のこの言動がどれだけ危険か、お分かりになるのではないだろうか。

あのムツゴロウさんでさえ、ライオンに指を食べられた。
人間は理解しているつもりでも、本当に理解していたとしても、野生の本能というものは獣自身にさえどうすることもできない。

野生のヒグマに関して浅識のわたしでさえ、ティモシーさんの言動が「自殺行為」だと言いきれる。

たとえティモシーさんがヒグマと心を通わせていたとしてもだ。
ヒグマは子供のころから人間に育てられていてもある時期にとつぜん野生の本能が目覚め、獰猛な性質になる。親も同然の飼い主を頭から食べてしまう、そういう生き物だ。
ヒグマが悪いわけではない、ただそういう性質なのだ。



ヒグマによる凄惨な食害事件は日本でもいくつか起きている。歴史上、最悪の被害をだした三毛別事件、二番目の幌新事件など。
(記事末尾にリンクあり)

教訓になる事例は世界にも多々ある筈なのに、なぜあえてボーダーラインを越えようとするのか。

批判したいわけではなく、純粋になぜなのか知りたい。
なぜ彼は野生の猛獣に必要以上に近づいたのか?

ティモシー・トレッドウェル。
グリズリーマンと呼ばれた男。

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アラスカの地にて

目次

ティモシー・トレッドウェルは熊の保護・生息地保全団体『Grizzly People』を設立した環境活動家。熊をこよなく愛した。

ルールを守らない男


「ティモシーはあらゆる公園のルールを破っていた。クマとの距離、野生生物への嫌がらせ、自然のプロセスを妨害する。彼の個人的な使命は公園の理念と矛盾していた」
アラスカの生態研究学者は証言する。
「ティモシーの死は悲劇だが、容易に予見できたことだ」と。


問題行動の多い男

ティモシーが熊と過ごした数年間、何度か混乱が起きている。
アメリカ合衆国国立公園局は彼や彼の団体の行動に懸念していた。
というのもティモシーは公園局側からすれば「トラブル・メーカー」とまではいかないものの、よく問題を起こす人物だったからだ。

公園局の資料によると、少なくとも6つの違反行為をしている。


●無免許で観光客を案内した
●制限を超えて同じエリアでキャンプ
●不適切な食料の保管
●野生動物への嫌がらせ
●訪問者やガイドとの衝突

…などなど。


また、キャンプ周辺に電気柵を設置することを拒否。
熊除けスプレーの携帯も拒否。
身をまもる術を自ら捨てていたのです。

実はティモシーは以前、熊よけスプレーを使用したことがあった。

「それでクマが苦しい思いをし、私の胸も痛んだ。だから使わないし携帯もしない」

結果的に、この理念が彼から命をとりあげることになりました。

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熊を愛した末の惨劇

運命の日


その日、ティモシーは恋人と共に国立公園を訪れた。
公園ときくと私たちは近所の公園を思い浮かべますが、このアラスカの国立公園は大自然そのもの。野生の動物が暮らす広大な草原です。


恋人のエイミーさんはグリズリーを怖れていたそうです。
その認識は非常に正しく、恐れが現実になった時の彼女の恐怖と痛みはいかばかりだったことか。

ともあれその時はクマを恐れる彼女をなだめ、ティモシーは川の近くにキャンプ・イン。

異変

13年間クマに接してきた。
ヒグマのプロ、ティモシー。

この日がいつもと何か違っていたとしたら、それは、彼が例年公園にいる時期よりも遅かったという点です。

木々が色あせる季節。
クマたちは冬になる前にできるだけ多くの脂肪を体に蓄えようと食いこむ。夏季よりも増して食べ物を欲するため攻撃的になっていた。

しかもこの時、ティモシーと親しいクマたちはすでに冬眠に入っており、他の場所から見知らぬクマが移動してきていた。冬眠に耐えられるだけの栄養が確保できずに食べ物を探していたと思われます。

つまりティモシーの言うように「彼と信頼関係を築いたクマたち」はおらず、彼のことを知らない、食べる物に飢えたヒグマが徘徊していた。

亡くなる数時間前にティモシーが撮影した最後の映像の中には、サケを求めて何度も川に飛び込んでいくクマの姿が写っていました。

ティモシーはその映像の中で、「その熊の近くでは全く安心できなかった」と述べている。
肌で危険を感じとっていたのです。

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灰色熊

遺体発見


翌日、ティモシーがあらかじめ頼んでいた迎えのヘリが到着。
パイロットはティモシーとエイミーの元に向かいましたが、彼らのキャンプ地にその姿はなく、ただ熊がウロウロしていた。


地元の公園管理者に連絡が入る。
調査の結果、バラバラになった遺体の一部が発見された。残りはヒグマにより、ほぼ食べられたとみられた。

キャンプ地とその周辺にいたハイイログマ2頭がレンジャーによって射殺された。
カトマイ国立公園85年の歴史上において初めての熊による殺人だった。


現場でティモシーが使用していたビデオカメラが発見されている。
警察の発表によると、6分間のテープにはヒグマがティモシーを襲い殺害した時の叫び声が記録されていたという。


※その音声がネットに流出。
わたしも聴きました。
あれは誰かが作ったフェイクではないかといわれていますが、そうであることを祈りたいほどリアルで、吐き気がしてきたので途中で視聴をやめました。

真偽はともかく、ああいう死に方はしたくない。
そう心底から思いました。
今は削除されていて聴くことができません。

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人を食べることがある


いかがでしたか。
ヒグマによる食害事件。
恐ろしかったですか?

ヒグマは、稀ではありますが、人間を食べることがあります。
それはヒグマのプロであったティモシーさんもよく理解されていたと思いますし、だからこそパーク側も口を酸っぱくして「不用意に近づくな。せめて撃退スプレー持てよ」と注意していたのです。


ふつう野生の熊は人間を怖がって近寄ろうとはしませんが、食べ物に困っていると狙ってきます。川で魚をとろうとしていたことからも、問題のクマが食べ物を求めていたのは間違いありませんし、実際二人は食べられている。


ヒグマがお食事モードになったら人間が走って逃げきることは不可能。
トップスピードはあのウサインボルト氏より早い。
車で逃げるか、銃でもない限り、この状況で助かるのはまず無理だったでしょう。


最後の疑問


ティモシーさんは見知らぬヒグマに対して警戒していたにも関わらず、撮影を続けた。何故でしょう。

自分だけは大丈夫だと、根拠もなく思ったのでしょうか。
ヒグマのことを誰より理解しているから襲われない、と?

これについては謎のままですが、謎といえばティモシーさん。パークから「危ないからやめてけれ」といわれ続けた13年間、クマに接近しながらそれでも生きてこれたことが不思議でなりません。


ヒグマは凶暴です。
愛があってもそれは人間側の一方通行。
彼らにとって食べ物以上の価値は人間にはありません。

そのヒグマに触れるなど正気の沙汰ではない、なんて恐ろしいことをするんだろう、と思いますが、現に彼はこの日までは襲われずにいた。

最期は食べられてしまいましたが、川にいたのが彼が慣れ親しんだクマたちだったら、結果は違っていたんでしょうか?

本人が言っていたようにヒグマと信頼関係を築いていたのでしょうか。
熊は学習能力が高いといいますから可能性は皆無ではないのかもしれません。実際にヒグマを飼っている人もいます。

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あとがき


実は最初にこの話を書こうと思った時、なんて男だと呆れました。故人に対して申しわけないが、浅慮すぎる、使命感を勘違いしている、と。

しかし事件の詳細を得て文書に起こしている内に、不思議なことにだんだんと憎めなくなってきました。

周りの言うことをきかず、問題ばかりを起こすティモシーさん。
しかしその言動をみていると、深くヒグマに惚れこんでいることが分かります。文字通り人生をヒグマに捧げ、その保護活動に尽力し、命がけで彼らを追いかけてきた。

「私は文明が嫌いで、都市にいるより自然の中でクマと一緒にいる方がいい」


ヒグマに出会ったあの日、確かに彼の運命は、決まったのかもしれません。

「野生の熊との初めての遭遇で、人生を賭けた仕事と言うものを見つけた。今まさに、自分の運命が熊たちとからみ合った事を知った」


感動してアラスカの地を見つめていたティモシーさん。
彼らの虜になった瞬間、その命も人生もヒグマのものになったのでしょう。


↓ティモシーさんとヒグマのドキュメンタリー映画。
興味がある方は是非。

Grizzly Man


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