なぜ熊を殺す? エサをばらまけばいいのに。熊を知らない人々の危険な思想。

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先日こんな意見を見かけました。

 

なぜ熊を殺す? 可哀想だ

 

最近は熊が頻繁に市街地におりてくるようになりました。2021年、北海道のヒグマによる死者は過去最多の12人(2023年は全国で2人だが人身事故は54件)。

 

それだけ熊が人里におりてきて人間に接触しているということ。

 

なぜ熊を殺す?

熊は危険な生き物です。

人を傷つける可能性のある熊を捕獲したり射殺するのは、人間を守るため。

 

答えは人命を守るため。

 

一方で熊の命が奪われているのは事実ですし、こういう「熊が可哀想!」という意見が出るのも必然でしょう。

 

実に可哀相だ。一番良い方法は射殺ではなく、有志ある人達が山に行って沢山の餌を何度もばらまいてくることではないだろうか。そうすれば山をおりてくることもなく、お腹一杯になり、体に十分な脂肪をつけて春までゆっくり冬眠できる。里におりてきて、人を襲うような事故も起きなくてすむ。

引用元:デヴィ夫人のアメーバブログ

 

ameblo.jp

 

 

熊ちゃん

え…デヴィ夫人、正気?

 

クマ

まあまあ。熊を守るための議論は必要だろう。

 

熊も自然の原資です。数に限りがあるわけで、不必要に減らすのは避けるべき。

そのためにはどうすればいいのかを、この言葉を軸に考えてみます。

 

   

「熊が可哀想だからエサをばらまけ」!

 

なぜ熊を殺す? 可哀想だ。

猟師は熊を殺すな

熊のプーさん殺すとかマジありえない

 

さあ、駆除のニュースが入るたびに、必ずと言っていいほどこういう意見の方と「いやそうではない」という反対意見の方が、はてブやらヤフコメやらで激論を繰り広げます。

 

今回はそんな討論会から一歩ひいて、「熊にエサを与えるという選択肢はあるのか?」という問題を考えてみましょう。

 

なぜ熊を殺すのか?

 


何で熊を殺すの?

 

先に説明したとおり、熊は人間にとっては危険な生き物です。

 

日本の陸生最大生物であり、全身が筋肉質。

 

ぬいぐるみのような見た目からは想像もできないほどの怪力の持ち主です。

当たり前ですが熊のプーさんではありません。

 


怪力ってどのくらい?

 

木製のドアなら一撃で吹き飛ばします。

 

▼最初の2秒に注視

youtu.be

 

また日本では住宅に忍びこんだヒグマ、冷蔵庫を開けたいが開け方がわからない。そこで扉をばっきりと壊して無事にエサにありついた。

なんてニュースも昔ありました。

 

熊ちゃん

ひいいい!

 

家畜の首を一撃でふきとばす。

そんなパワフルな熊と遭遇したら、人間はどうなるでしょうか。

 

去年、丘珠の住宅街に熊があらわれて大騒動になりました。

 

街中を疾走した熊は出会った人間を殴り倒し、4人の男女が重軽傷を負う惨事に。その中には現役の自衛官も含まれていました。

自衛官が吹っ飛ばされた!

 

熊がどれだけ強いのかはこれでお分かり頂けたと思います。

 

パンちゃん

あいわかった。

 

自然を破壊した報い

 

山にエサが少ないと熊は困り果てて人里までおりてくる。

住宅街でゴミをあさる姿がたびたび目撃されています。

 

可哀想です。自然を破壊して熊のエサを奪っているのは私たちなのに。

 

確かに熊のエサを奪っているのは私たちです。

 

北海道はもともと手つかずの自然が広がる未開拓地でした。

アイヌの人々が少数で暮らしているだけで、大部分が熊たちの楽園だった。

 

それを開墾し、田畑を造り、森林を伐採して、ビルを建て、都市を築いてきたのはわたしたち。

 

クマ

九州にはツキノワグマがいたが、今はいない。

 

人類の発展とともに熊は山へと追いやられ、エサとなるミズナラの木*1も減少した。

 

実りが悪い年に熊が人里におりてくるのは因果応報。

我々、人間が悪い。

それは間違いありません。

 

パンダ

確かに原因は僕らにあるね。

 


うん、熊ちゃんたちが悪いね。

 

人間

君たちが言うとややこしいな

 

ならエサをばらまけばいいのか?

 

一番良い方法は射殺ではなく、有志ある人達が山に行って沢山の餌を何度もばらまいてくることではないだろうか。

 

この言葉について考えてみます。

 

  • 山にエサをばらまく

 

どういう方法で広い山の奥地に棲んでいる熊にエサを届けるのかは別として。

 

もし可能だとして。

エサをばらまけば、熊が人里におりてくることは無くなるのでしょうか。

 

 

熊ちゃん

クマさん、ばらまきで熊が人里におりてくることはなくなると思う?

 


なくなるかもしれないが、熊を射殺する機会が増えるだろう

 


どういうこと?

 

エサをばらまいたら熊が増える可能性

 

個体それぞれにエサが充足していれば、人里に近づく機会はなくなるでしょう。ただ代わりに別の問題がもちあがる可能性が。

 

その問題は熊の身体と生態系に深刻な影響を与えることになるかもしれません。

 

  • 熊の肥満化
  • 草食動物に負ける
  • 野生の熊が消える
  • 数が増える
  • 生態系が崩れる

 

熊が肥満になる⁉

 

エサが定期的に与えられるようになれば、山を歩き回ってエサを探す必要がなくなるので肥満化が危惧されます。

 

熊ちゃん

野生の生き物は肥満にならないだろ

 


エサを与えられたら、それはもう野生じゃないよ。

 

そう、道全域が動物園になるのです。

日本から野生のヒグマが消えるということ。

 

国民は、北海道または日本全国の熊を飼うことになるわけです。

 

シカより弱くなる⁉

 

野生のヒグマは筋肉マン。

ですが山を歩かなくなって日がな寝ていたらどうなるでしょう。

 

熊ちゃん

そりゃあ…筋肉とれるよね。

 


爪や牙も必要なくなるな。

 

筋肉がとれれば体は衰えます。

弱い生き物は自然界では生きていけません。

 

そのうち牙や爪が短くなり、力も弱り、シカやイノシシにエサを力ずくで奪われるようになるでしょう。

 

出産ラッシュで激増する⁉

 

どんぐりの実が豊作だった年の翌年は熊の出生数が増えることが分かっています。熊は平均して2頭の子どもを産みますが、もしエサが定期的に供給されるとなると熊の数が増えるかもしれません。

 

クマ

毎年増え続けていく熊を食わせていくのは大変だぞう、きっと。

 

熊は大食漢。エサ代がかかりそうですね。

 

またエサ代は税金でまかなえても、どうやってエサを調達するのか、どうやって1頭1頭に届けるのかも問題になります。

 

シカが増えて地面むき出し⁉

 

熊が狩りをしない。シカやイノシシを食べなくなる。するとどうなるでしょうか。

 

  • 草食動物の数が増える
  • エサとなる植物が減る
  • 生態系が崩れる

 

自然に棲んでいるのは熊だけではありません。他の動物、その動物が口にする昆虫や植物にまで影響を及ぼす可能性が出てきます。

 

生態系が崩れたら、熊が可哀想だなんて言っていられません。熊だけを特別扱いするわけにはいかないのですから。

 


ここまでになると調整が必要だ。

 


調整?

 

熊を駆除して数を元に戻すのです。

 

結局増えすぎた熊は射殺されることになりますし、次の世代は自分でエサをとることを親から学ばない。

 

ーそこで人間がエサを与えることをやめたら?

熊は生きられなくなる。

 

そうすれば山をおりてくることもなく、お腹一杯になり、体に十分な脂肪をつけて春までゆっくり冬眠できる。里におりてきて、人を襲うような事故も起きなくてすむ。

 

いいえ。逆です。

住宅街でゴミをあさるのが普通になってしまうでしょう。

 

熊にエサを与えるということは、熊から自分で生きる道を奪うということ。

 

もしエサを与えるなら子々孫々まで飼い続ける覚悟が必要になります。

解決策はあるのか

 

熊ちゃん

じゃあ、どうしたらいいの? 解決方法ってあるのかな?

 

昔の熊は人間を恐れていました。

人里におりてくることは珍しく、まして市街地に現れるなど無かったこと。

 

しかし現代の熊たちは市街地を闊歩し、民家に入って冷蔵庫をあけます。

 


人間に慣れているからだ。

 

人間に慣れさせる行為を、我々がやめる必要があります。

 

  • 熊の棲み家である自然を増やす
  • 熊のエサを奪わない
  • 熊に関わらない

 


時代はこれの逆を行っているよね。

 

熊のすみかである森林や山はどんどん削られて都市開発が進んでいますし、熊のエサであるタケノコや山菜を生業ではない一般人が小遣い稼ぎに採ってまわる。北海道を訪れる観光客(の一部)はSNS映えのために熊との距離を縮め、エサを投げ与える。

 

これらの行為をやめない限り、市街地で射殺される熊の数は増え続けていくでしょう。

   

エサを与えることへの是非

 

熊にエサを与えるべきか?

 

  • 与えた所で問題は悪化する

 

ならどうすればよいか?

 

  • 熊に関わるのをやめる
  • 熊のすみかを増やす
  • 熊と距離をとる

 

要するにクマの生態についての正しい知識を広める、先ほどのべたような観光客しかり人間への教育をほどこす。それらが肝要です。

 

デヴィ夫人のブログには「熊の数が減っている」とありましたが、むしろ逆で、熊の数は近年増え続けています。

 

熊の情報を得ないまま、生態に興味をもたないまま、ただ可愛いという感情だけでソーセージを投げ与える。

この行為がめぐりめぐって熊を殺すことに繋がるのだということをまず知ること。

 

そこからすべては始まるのです。

 

野性のヒグマを餌付けするとはどういうことなのか、ぜひ他の記事も読んでご理解を深めて頂ければ、幸いです。

 

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▼人を食べる熊がどれだけ恐ろしいかはこちら(閲覧注意)

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▼北海道を訪れる観光客の行為が道民を殺す

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*1:どんぐりの木