クマに食べられた事件特集【秋田県限定版】2021年11月発行


都道府県ごとにクマ事件をまとめようという企画。第1弾となる今回は「秋田県」です。

2023年10月19日北秋田市で帰宅中の中学生が熊に襲われて怪我をしました。先日は富山県で女性が襲われ、残念ながら今年2人目の犠牲者となってしまいました。

実り豊かで自然が残る秋田県。色づく山にはツキノワグマが生息している。

そんな秋田県で過去に起きた大きな事件をふたつ紹介します。

秋田県の熊害事件まとめ

実りの秋。
それはクマにとって冬眠支度をする時期。
なるべく食いだめて、脂肪をたくわえる。

たくさんの食べ物を求めて山を徘徊するクマ。同じく人間にとっても栗拾いや山菜採りなど行楽シーズン。山に入る機会が増え、両者が遭遇しで事故が起こる。

秋田に棲むツキノワグマ

秋田県を含めた本州と四国に棲むツキノワグマ。北海道に棲むヒグマ。この2種類のクマの生息圏はあわせると、およそ日本の6割におよびます。

引用元:環境省

この分布図をみると本州では東日本に、とりわけ東北や中部に集中しているのがわかります。秋田県はほぼ全域にクマが棲んでいる。

実りが豊かな証でもあります。クマはホームを構えない生き物でエサのあるところに棲むのです。

ツキノワグマとは
ツキノワグマは体長1m前後、体重は約120㎏。雑食性ですが主食は木の実などで秋はどんぐりを好んで食べます。

十和利山クマ襲撃事件


十和利山に入っていった人々の目当てはタケノコでした。ネマガリダケという種類で、たくさん採ればちょっとした小金になるということで副業代わりにする人が多かった。


最初の事故は熊取平の竹やぶで起きました。


タケノコを採っていた男性(79)が行方不明になった。



遺体には爪痕や噛み傷があったという。
この時、男性を襲ったクマは「人間の味」を覚えたとみられています。

一度人間の味を覚えたクマはまた人を襲う。これはクマの習性です。

広大な山の中を歩き回って木の実をひとつぶひとつぶ拾ったり、土をほりかえして小さな虫をとったりする労力は大変なものがあるでしょう。

ただでさえ大きな身体を維持するにはカロリーが必要です。クマは筋肉量が多いので、じっとしていてもエネルギーを使う。

クマが冬眠するワケ


食べ物が少なくなる12月から4月、日本のクマは冬眠します。起きていては死んでしまうからです。眠って代謝を最低まで落とすことで越冬する。生きのびるための習慣なんですね。

その証拠に食べ物が年中豊富な地域にすむクマは冬眠しません。


1年をいきのびるのも大変なクマ社会。働けば働いた分だけお手当が入る人間とは違い、山を歩き回ったからといって必ず満腹になるだけの成果を得られるとは限りません。

さあ、そこに人間が現れた。
かじってみると意外に食べられる。

学ぶわけです。
大量のカロリーをカンタンに得る方法を。


クマが学ぶこと

  • 人間は食べられる
  • 人間は弱い


クマは学習する生き物

基本的にクマは人間をおそれます。それは、私たちが「何だかよくわからない生き物」だから。

しかし偶然の事故で人間が「弱くて食べられる生き物」だと分かると、恐怖は消えます。

エサという認識に切り替わる。

十和利山では入山した人々が次々に襲われました。

十和利山クマ襲撃事件を読む


味を覚えたクマはそこから8人の人間を死傷させました。食害目的なのは遺体をみれば明らかだったといいます。

熊鈴。人工的な高い音を出すことでクマに「人間がいますよー」と教えるもの。

鈴の音がクマをおびき寄せた?


そもそも熊鈴はクマが人間を怖れるから効果があるのであって、十和利山の捕食者にとってみれば「エサがここにありますよ」と知らせているようなもの。

もちろん今回は特殊な例ではありますが、人里におりてきて人間と遭遇するクマが増えているこの時代、山登りの際に熊鈴を持っていくかどうかは悩むところ…。

環境省は公式で推奨しているので、その辺りは個々の判断にて。
環境省「クマに注意」

秋田八幡平クマ牧場事件

もうひとつクマの事件をご紹介します。

9年前、秋田県内の八幡平クマ牧場という動物園で起きた事件。運動場から脱走したヒグマ6頭が女性従業員2人を殺傷。駆けつけた猟友会により園内で全頭が射殺された。


異常な動物園のヒグマたち

日本では北海道に生息するヒグマ。体長1.2~2.3m、体重200キロ前後とツキノワグマよりもひとまわり大柄で気性もやや荒い。食べ物は木の実や昆虫に加えて魚やシカなどの哺乳類も食べますが…。


やせ細り、観光客たちが与えるエサにいちもくさんに群がっていたという。

満足にエサを与えられず、痩せていたクマたちに動物愛護団体は園に対して何度も是正勧告をしていた。結局は対処がされる前に事件が起きてしまい、園は閉鎖されることに。

被害者は確かに出ているのですが、射殺されたクマたちには何の責任もない。あきらかに人間側の過失により起きてしまった、いわば人災でした。

▼事件の詳しい内容についてはこちら
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秋田県クマ事件まとめ

以上、秋田県で起きたクマの事件特集でした。
「クマの動物研究」では動物事件を多数あつかっております。よければご回覧ください。
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