都道府県ごとにクマ事件をまとめようという企画。第一弾となる今回は「秋田県」です。
秋田県内で起きた過去の大きな事件をふたつ紹介します。
- 十和利山クマ襲撃事件
- 八幡平クマ牧場事件
2021年の秋田県クマ被害
過去の事件を紹介する前にまずは2021年の最新情報から。
2021年10月3日。秋田県内できのことり、栗ひろいをしていた男性がそれぞれクマに襲われた。
さらに北秋田市では上杉の森林で午前11頃、男性が体長1mのクマに襲われて顔に裂傷、手指の骨が折れる重傷を負った。
秋田東署は、秋田市仁別で午前11:10頃に同市の女性が栗拾い中にクマに襲われて顔に裂傷を負い、骨折したことから、この現場から70m以内にある民家に対して注意を呼びかけた。
秋は被害が増える
そう。秋。
人間にとっては実りの秋。
栗や果実などを採りに山に入る。
そしてクマにとっては冬眠するために支度をする時期。
食いだめ、脂肪をたくわえる。
たくさんの食べ物を求めて山を徘徊するクマと、同じく旬の食べ物を探す人間が遭遇し、事故が起こるというわけです。
日本のクマたち
北海道に棲むヒグマ。そして本州と四国に棲むツキノワグマ。
この2種類のクマの生息圏はあわせると、およそ日本の6割におよびます。
引用元:環境省
本州では東日本により多く、中でも東北や中部に集中しているのが分布図をみるとよくわかります。秋田県はほぼ全域にクマが棲んでいる。
実りが豊かな証でもあります。クマはエサのあるところに住みますから。
ツキノワグマ
ツキノワグマは体長1m前後、体重は120㎏ていど。雑食性ですが主食は木の実などで秋はどんぐりを好んで食べます。冒頭で栗拾い中の人が襲われたニュースを紹介しましたね。山に落ちているごちそうはクマも好きなのです。
十和利山クマ襲撃事件
十和利山に入っていった人々もタケノコが目当てでした。ネマガリダケという種類でたくさん採ればちょっとした小金になるということで副業代わりにする人が多かった。
最初の事故は熊取平の竹やぶで起きました。
タケノコを採っていた男性(79)が行方不明になった。
遺体には爪痕や噛み傷があったという。
この時、男性を襲ったクマは「人間の味」を覚えたとみられる。
いちど人の味を覚えたクマはまた人を襲う。
これはクマの習性。
広大な山の中を歩き回って木の実をひとつぶひとつぶ拾ったり、土をほりかえして小さな虫をとったりする労力は大変なものがあるでしょう。
ただでさえ大きな身体を維持するには相応のカロリーを必要とします。クマは筋肉量が多いので、じっとしていてもエネルギーを使う。だから冬眠するのですね。
クマが冬眠するワケ
食べ物が少なくなる12月から4月、日本のクマは冬眠します。起きていては死んでしまうからです。眠って代謝を最低まで落とすことで越冬する。生きのびるための習慣なんですね。
その証拠に食べ物が年中豊富な地域にすむクマは冬眠しません。
1年をいきのびるのも大変なクマ社会。働けば働いた分だけお手当が入る人間とは違い、山を歩き回ったからといって必ず満腹になるだけの成果を得られるとは限りません。
さあ、そこに人間が現れた。かじってみると意外に食べられる。
その時に学ぶわけです。大量のカロリーをカンタンに得る方法を。
クマがここで学ぶこと。
- 人間は食べられる
- 人間は弱い
クマは学習する生き物
基本的にクマは人間をおそれます。それは、私たちが何だかよくわからない生き物だから。
しかし偶然の事故などで人間が「弱くて食べられる生き物」だと分かると、恐怖は消え、エサという認識に切り替わる。十和利山では後に続いて入山した人々がたて続けに襲われました。
味を覚えたクマはそこから8人の人間を死傷させました。食害目的なのは遺体をみれば明らかだったといいます。
熊鈴。人工的な高い音を出すことでクマに「人間がいますよー」と教えるもの。
鈴の音がクマをおびき寄せた?
そもそも熊鈴はクマが人間を怖れるから効果があるのであって、十和利山の捕食者にとってみれば「エサがここにありますよ」と知らせているようなもの。
もちろん今回は特殊な例ではありますが、人里におりてきて人間と遭遇するクマが増えているこの時代、山登りの際に熊鈴を持っていくかどうかは悩むところ…。
環境省は公式で推奨しているので、その辺りは個々の判断にお任せいたします。
秋田八幡平クマ牧場事件
9年前、秋田県内の八幡平クマ牧場という動物園で起きた事件。運動場から脱走したヒグマ6頭が女性従業員2人を殺傷。駆けつけた猟友会により園内で全頭が射殺された。
ヒグマとは
日本では北海道に生息するヒグマ。体長1.2~2.3m、体重200キロ前後とツキノワグマよりもひとまわり大柄で気性もやや荒い。食べ物は木の実や昆虫に加えて魚やシカなどの哺乳類も食べますが…。
やせ細り、観光客たちが与えるエサにいちもくさんに群がっていたという。
満足にエサを与えられず、痩せていたクマたちに動物愛護団体は園に対して何度も是正勧告をしていた。結局は対処がされる前に事件が起きてしまい、園は閉鎖されることに。
被害者は確かに出ているのですが、射殺されたクマたちには何の責任もない。あきらかに人間側の過失により起きてしまった、いわば人災でした。
秋田県クマ事件まとめ
以上、秋田県で起きたクマ事件特集でした。
「クマの動物研究」では動物事件を多数あつかっております。よければご回覧ください。
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