今回は北海道で問題になっている観光客の行為について。
北海道にはたくさんの魅力があります。エゾシカやキタキツネなど野生の動物が多く生息していることもまたひとつ。その姿を目当てに多くの人々が県外から集まります。
しかし野性動物に対する認識の誤りによって、ヒグマたちが命の危機にさらされていることをご存知でしょうか?
知床を訪れる観光客の行為
熊は時速50キロで走る
野性のヒグマは時速50㎞で走ります。
50mを3.6秒で走り抜ける。走り出しからトップスピードまで到達する時間を考慮にいれても、その気になればわずか数秒で距離を詰めることが可能です。
オリンピック選手よりずっと早い。
数秒で、命を守る行動をとるのは難しいですよね。
好奇心旺盛な個体もいる
ヒグマは基本的に人間を怖れます。
人間の姿をみれば逃げるのがふつうで、「熊鈴」などはそれを利用しています。
ハイキングなどで鈴を鳴らしたり歌を歌ったりするのはそこに人間がいると教えてクマに遭遇を回避させるため。
しかし相手は野生の獣。こちらの思惑通りには動いてくれません。
中には好奇心旺盛な個体もいて近づいてくる場合があります。
熊をみかけたら近づかず、その場を離れよう。
車からおりないで。鍵もロックしてね。
熊は車のドアを手で、いや前脚で開けることができるので念のため。
人に慣れてくる
観光客が集まって熊の写真を撮影している光景がしばしば問題になります。
こちらのニュースでもとりあげていますがー。
危ないからNGなんだよね
むろんそれもあります。
が、もっと大きな問題が。
写真をとるカメラマンたち。
熊はそこに人間がいるのに平然としている。
これが問題なのです。
何が問題なの?
先述のとおり熊は本来、人間を怖れる。
人間が近くにいれば逃げ出すのがふつうです。
反応しないのが異常なのです。
人間に慣れているからだ。
人間に慣れてくると様々な危険が生まれます。
公園のハトポッポと違って熊は害獣。
家屋を破壊したり安全を損なう可能性がある。早い話がエサを得るために人を襲う(または人をエサにする)ようになるので、人に慣れすぎた個体は駆除されることも。
殺しちゃうの?
可哀想ですよね。
自治体も住民の安全を守るために否応なくヒグマを殺処分しなければならないので、こういった「人に慣れさせてしまう行為」はやめるべきです。
不要に近づく、ゴミを捨てる、釣りなどで荷物を置きっぱなしにするなど。
人間の食べ物を熊が食べると味をしめてエサ欲しさに里におりるようになるのでゴミは必ず持ち帰りましょう。
また釣りなどで荷物を岩場に放置するのも危険です。
いちどヒグマに荷物をとられるとやっかいなことになりますので。
観光客が「可愛い」と不用意に縮めてしまった距離が、地元住民の安全をおびやかす。そう、熊の攻撃を受けるのは観光客ではなく地元の人々です。いちど人を襲うことにメリットを見出したヒグマは何度でも襲うように。
こんなにある熊害事件
- 三毛別羆事件
- 十割利山熊襲撃事件
- 石狩沼田幌新事件
- 札幌丘珠事件
- 秋田八幡平クマ牧場事件
- 乗鞍岳クマ襲撃事件
- 福岡大学ワンゲル部事件
- 風不死岳羆事件
- 羆のOSO18
こ、こんなに⁉
あ、これほんの一部です。
このように過去には凄惨たる事件がいくつも起きていて、北海道民たちは身に染みて理解しているからこそ、口をすっぱくして「熊に近づくな」と声をかけるのです。
さらに人間に慣れた個体が子供をもつと、その子供も人間を怖れなくなります。こういう人を怖れない新世代の熊がいま増えていて深刻な問題になっています。
観光で避けたい行為
熊が出る場所で避けたい行為です。
- 熊に近づく
- 生ごみを自然に捨てる
- 荷物を野に放置する
- 餌付けは論外
というわけで今回は北海道の知床で起きている観光客問題について解説しました。
もしあなたが北海道を訪れる機会があり、あなたの近しい人が熊に近づこうとしたら、ぜひ止めてあげてください。
ぜひに