ロシアのある町で起きた重大な熊害事件をご存じでしょうか? コグマを拾って育てた男性がなんと成長したクマに食べられてしまったという…。
日本とは違う環境ゆえに生まれた悲劇。くわしく解説していきます。
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今日はロシアのメンブラーだ。
メンブラー?
ロシアのあるお宅で飼われていた可愛いクマの名前だよ。
※大変ショッキングな事件です。残酷な画像などはありませんが、事件の仔細を載せていますので閲覧には注意してください。
ロシアで起きた飼い熊による獣害事件
もしあなたがーこれからお家でヒグマを飼おうかなと考えているのなら、ぜひこの記事を読んで未来の展望にお役立てください。
いないよそんな人! てか日本では飼育できないし!
日本ではヒグマは飼えない
そう。
現在、日本では虎や熊など大型陸上生物を個人で飼うことはできません。
虎は40年前まで飼えていたのですが、ある人がうっかり逃がしてしまって日本中が大パニックになったことがあり、以降は法律で禁じられました。
神野寺虎脱走事件。約40年前の日本で起きた猛獣との恐怖の夏休み
昔は飼えていたのが驚き
虎もだが、ヒグマは無理だよ…
日本では人間をのぞいて天敵がいないといわれる最強の陸生生物、クマ。
その人間ですら時に美味しく頂いてしまう。
しかし、だから危険なのではなく、食べなくても攻撃することがある。日本では昔から野生のクマによって悲惨な事故が数多く起きています。
- 三毛別ヒグマ事件
- 石狩沼田幌新事件
- 十和利山クマ襲撃事件
- 丘珠事件…
こ、こんなに⁉
こんなのほんの一部だ。
脅威の生き物クマ。
身体能力もさることながら、その恐ろしい習性ゆえに人間が飼いならすことは不可能。
ロシアでは飼育ができる
ところが恐ろしいことにロシアでは飼育が許可されているという。
もちろん設備や対策などがしっかりとなされている場合に限りますが、それでもいち個人で飼うことが許されているというのは驚きです。
隣の家にヒグマがいるってことだよね。
私なら即引っ越します。
ご存じですか?
ヒグマはドアを一撃で吹き飛ばしてしまうのです。施錠など無意味に等しい。
今回の主人公、ヒグマのメンブラーはきちんと檻にいれられていました。それでもおぞましい事件を引き起こした。
いったい何があったのか?
「ヒグマのメンブラー」、どうぞご覧ください。
ヒグマのメンブラー
ロシア、チェリャビンスク州。
山で狩りをしていた男性セルゲイさんが、コグマを見つけて自宅に連れて帰った。
「メンブラー」という名前をつけて、二匹の犬と共に庭で飼い始めた。それがすべてのはじまり。
メンブラーに首輪と鎖をつけ、エサは手ずから与え、一緒に散歩もする。
普通にペットとして飼っていた。
最初は小さくて、可愛かった子熊。
そのままのサイズでいてくれればよかったが、そうもいかない。
だんだん体が大きくなってきて、性格も獰猛になってきた。
地域によって異なるが、ヒグマはオスの成獣で体長2.0~3m、250ー500㎏程度まで成長する。
魚が豊富にとれる場所に住んでいる種であれば、500㎏を超える個体も。
世界最大の記録はコディアック島で捕らえられた1134㎏(1134㎏!)。
日本のヒグマは木の実やタケノコなども食べるので、海外ほどではありませんが、それでも200~250㎏。
クマの体格は採れるエサに左右されるようですね。
ツキノワグマよりも大きい
500㎏て車じゃないか…
セルゲイさんに迫る危機
メンブラー、力が強くなるにつれて、とうとう鎖ではつなげなくなった。セルゲイさんもたまらず檻にいれるが、安心はできない。
他の動物に例えるのもおかしな話だが、ライオンや虎を飼っているのと同じこと。人間にとっては脅威でしかない。
隣の家がこれらのアニマルを飼いはじめたらどうしますか?
だからひっこすって!
ペットからヒグマに変貌する
ヒグマというのは人に飼われていてさえ、ある年齢がくると急に野性が芽生える。オス熊の本能にかられてメンブラーは主人を攻撃するようになっていた。
セルゲイさんの周りの人たちは、危険だから熊を施設にやるように言った。
が、本人は聞く耳をもたない。
そのままヒグマと生活を続けた。
事件の日
ある日、セルゲイさんと連絡が取れなくなった。
離れて暮らす家族が心配し、警察に相談。
職員が男性宅を訪れるとー。
家の前に血痕と、人のものと思われる骨が落ちていた。
静けさに満ちた庭。飼い犬が2頭いたが、こちらも骨だけになっていた。
檻は破られ、ヒグマの姿がない。
警察は熊が男性と犬を食べたものとみて、姿をくらませたヒグマの行方を追った。
地面に続く血の跡と大きな足跡。
やがてそのずんぐりとした巨体を発見した。
メンブラーはその場で射殺された。
ロシアの飼い熊事件まとめ
怖っ。どこが可愛いのさ⁉
君も熊だろ……
たしかに恐ろしい話です。自分を育てた人を食べてしまう…。
起きた出来事だけをみれば「ヒグマは血も涙もない冷淡な生き物なのか!」ということになってしまいますが。
生物の行動としてみればメンブラーはいたって普通。
腹が減ればエサをとる。野山で生きているヒグマたちがそうしているようにメンブラーもまたそうしただけ。
野生のヒグマ
野性のヒグマは本来、人間を怖れます。
それは人間が「なんだかよく分からない生き物」だから。
人と関わったことがない熊にとってわたしたちは脅威なのです。
だから山でハイカーが鈴を鳴らすと熊たちは避けてくれます。お互いに遭遇を回避することで、人間とヒグマはうまくやってきた。
ですがセルゲイさんに育てられたメンブラーは人を怖れたりはしません。
その場にセルゲイさんしかいなかったので詳しい状況は分かりませんが、もしも彼が檻から脱走したヒグマを見つけて背中を向けて逃げだしたのだとしたら、メンブラーは当然おいかけたでしょう。
熊には逃げる者を追いかける習性があるので。
単に空腹でエサまっしぐらだったとも考えられるがな…
ひいいいい!
日本でもそうですが、一度ひとの味を覚えた熊は殺処分されます。
そこまでしなくても。可哀想。
そう思いますか?
しかしこれは人の安全を守るためにやむを得ない措置。
クマの学習能力が人を襲わせる
「人間は食べられる」と知った熊は、また人間を襲います。
自然界のすばしっこい小動物や魚を捕まえるのに比べれば、人間を捕まえる方がはるかにたやすいからです。
人間は弱い生き物でカンタンに捕まえられると学んだ熊に怖いものなどありません。
熊は学習する生き物なのです。
それゆえ北海道などのヒグマの生息地では、熊にそのことを学ばせないように徹底的に注意がなされている。人の食べ物を山に捨てない、など。
人間の食べ物の味を知ると里におりてきて民家に侵入し、冷蔵庫をあさるようになるからです。
観光客が熊にエサを与えたりしていますが、絶対にしてはならない行為ですよね。
とにかくクマに学ばせないことが大事です。
わたしたち人間側が気をつける必要があり、ひいてはそれが彼らの命を守ることにつながる。
クマが可愛いならクマと遭わないようにするのが一番です。
そのために知っておきたいクマの種類や生態は熊図鑑をご覧ください。熊害事件については下記の記事をどうぞ。
▼凄惨ぎるので閲覧注意!
▼日本史上最悪のヒグマ事件で有名
▼世界のヒグマ事件まとめ
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