今日は海のギャング「シャチ」について。生態や狩りの手法、人間との関わり(事故)などについてまとめています。
シャチといえば水族館の大スター。いるかいないかで大違い。
いるか?
いいえ、オルカです。
イルカにペンギン。スターひしめく海の世界で花形の座に居座ってどかないシャチ。我々にとって何がそんなに魅力なのでしょうか。今日はその素晴らしさと残酷さをあますことなくお伝えしましょう。
シャチ (オルカ)
哺乳網鯨偶蹄目(ホニュウコウくじらぐうていもく)マイルカ科シャチ属の海獣。見た目はどちらかというとサメですが、その性質は…。
- 人間を襲わない
- 群れで暮らす
- 仲間と会話できる
- 哺乳類
- 音波で障害物を感知する
ちなみにサメはお魚。イルカやオルカは我々と同じ哺乳類です。
とりわけオルカは高度な知性と社会性をもち、強靭な肉体だけでなく頭を使って集団で狩りをします。
シャチの生態
シャチといえば黒と白のツートンカラー。
ともすれば恐ろしげに見える大きな身体。
にもかかわらず、シャチに対して恐ろしいという印象をもつ人は少ないはず。
何故か?
それは水族館のイメージが定着しているから。
シャチは賢くて大人しい。調教師のいうことをよく聞き、人間に従う。見た目は怖いが実はぜんぜん怖くないと知っている。だから私たちはシャチを怖れません。
しかし他の動物は違います。
人喰いザメを食べるシャチ
人喰いザメと呼ばれるホホジロザメはシャチをおそれます。食べられるからです。
シャチが現れると慌ててUターン。
クジラなど自分より大きな哺乳類ですら食べてしまうことから、キラーホエール(殺し屋)の呼び名がついているシャチ。
まぎれもなく海の帝王であり、可愛いと思えるのは食物連鎖の頂点にたつ人間だけなのです。
シャチの特徴
シャチはマイルカ科の仲間で最大の種。体長はオスで平均5.8~6.7m、体重は3.628~5.442㎏。メスの体長は平均で4.9~5.8m。体重は1.361~3.628㎏。
確認されている最大のシャチは9.8m、体重10トン。
表面は黒、腹の部分は白。両目にアイパッチと呼ばれる白い模様があり、よく見ると個体により微妙に形や色合いが違う。シャチは仲間を個別に識別していることがわかっており、言葉以外にこの模様も認識していると思われる。
遊泳速度は50キロと哺乳類ではトップクラス。
好奇心旺盛で、興味をもったものに近づいて確かめる習性がある。
野性のシャチは肉食
シャチは、人間を例外にすればおよそ天敵がいない海の最強捕食者です。黒い群れにいちど狙われたらクジラであろうがサメであろうがホッキョクグマであろうが逃げることはできません。
自然界に生きる彼らは「海のギャング」。
その知能で狩りをします。
氷上のアシカを狩る
氷の上にいるアザラシ。そのまわりをとりかこむシャチの群れ。氷のまわりで泳いで波をおこし、エモノを海に落とします。
こんなふうに頭を使った戦法と群れによる狩りを得意とします。恐ろしい。
ホホジロザメと対決!
次はホホジロザメと対決です!
人間にとって海の恐怖の代名詞ともいえる大型の人喰いザメ。シャチに食べられると先述しましたが、実際に出会うとどうなるのでしょうか?
ホホジロザメとシャチ。どちらが強いでしょうか。答えは後者。ホホジロザメが時速25㌔で泳ぐのに対してシャチは3倍以上の体重でありながら倍速の50㌔で泳ぎます。高速アタックでサメをひっくり返して、がぶり。そうすると動けなくなると知っているのです。高い知能と的確な戦術で圧勝でした。#動物
— クマ (@cumacuma_cuma) 2021年6月28日
シャチの圧倒的勝利です。
体格さももちろんありますが、一番の勝因は知能の高さ。
ホホジロザメも魚の中では頭がいい方だと言われますが、シャチからすると「所詮は魚」といったところでしょうか。頭がいい方が勝つ。自然の摂理ですね。
ちなみにホホジロザメとの対決はこちらの本で読めます。
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米で起きた人間との事件
サメも裸足でにげだす海の殺し屋シャチ。
人間が襲われることはないのでしょうか?
過去には仲間に危害を加えた人間に報復したというケースがありますが、とてもまれなことで基本的に襲うことはありません。
ただ好奇心が旺盛なので、人間の足を引っ張ってみたり、じゃれついてきたりということはあるようです。
相手は5トンの海獣ですから、それだけで骨が粉々になる可能性はじゅうぶにありますよね。
水族館では実際にじゃれついてきたシャチに飼育員が命を奪われるケースがあります。
調教師に恋をしたシャチ
その知能の高さゆえに、人間の異性に恋をしてしまうことがあるようです。
アメリカの水族館で飼育されていたシャチが、いきなり女性調教師を水中にひきずりこんだ。
まわりの人たちは女性を助けだそうとしたが、相手は5トンの海獣。人間がどうこうできるような生き物ではありません。水槽をゆうゆうと泳ぐシャチにくわえられたまま、女性は息ができずに…。
不幸な事故でした。
このシャチと女性飼育員は普段からとても仲が良かった。シャチにとってみれば大好きな人と遊びたかっただけ。
しかしその桁外れの力は、か弱い人間にとってはもろ刃の剣。
外洋ではありえない、水族館ならではの事故ともいえます。
というちょっと切ないお話でした。