2023年7月30日、北海道を震撼させていたoso18は釧路町で駆除されました。
この記事の最後に詳しく記述しております。
2023年3月、いま北海道を震撼させている獣害事件をご存じでしょうか?
オソが現れたー。
オソ?
北海道に現れたモンスターだ。
オソことOSO18は巨大な生き物で、2019年から北海道東部で放牧中の牛を襲っている。これまで被害に遭った牛の頭数は2年余りで65頭。
推定体重400kg、立ち上がり手をあげると体長は3mにもなるという。
200kgの牛を真っ二つに両断してしまう怪力の持ち主。
そんな巨大生物、日本にいたっけ?
あ、クマ?
2019年、7月に初めて牛が襲われました。
その場所が標茶(しべちゃ)町下オリツベツという地名だったこと、現場に残されていた前脚の足跡の幅が18㎝だったことからこう呼ばれるように。
OSO18
同年7月16日。
厚岸セタニウシの町営牧場で牛3頭が死んでいるのが見つかり、ヒグマによるものと見られる爪痕や腹を噛まれた跡があった。
その後もたて続けに襲われ、1か月の間に同様の事件が4件も続いた。
被害を防ぐために町営牧場は放牧していた牛を舎飼にいれるなどして避難させたが、オソは凶行を続けた。
2022年。
この時すでに15頭の牛が襲われている。
その正体は巨大ヒグマ
今は2月、クマは冬眠中の筈だろ?
三毛別ヒグマ事件の犯人も冬眠せず、冬に凶行におよびました。体が大きすぎて冬眠用の穴を見つけられなかったせいで…。
そもそも冬眠はエサがなくなる冬を生き抜くためにするものであり、エサがあれば冬眠をする必要がないのです。
オソが巨体を維持できているのは鹿などのエサが豊富にあるためと考えられています。
北海道のヒグマ事情
近年、北海道ではヒグマの目撃情報が増えています。
その原因のひとつが放牧地
昔に比べて日本人がよく牛乳をよく飲むようになり、バターなどの乳製品の需要も増加しました。市場拡大にともない乳牛の飼育数も増え、飼うための牧草地帯も広がった。
自然に棲むクマとの距離が短くなり、クマが牛の匂いをかぎつけるため、被害が増えるというわけです。
ん? 2019年?
気がついたか。
いま2023年だよね。まだ捕まってないの? 駆除の対象だよね。
むろん。
酪農家や牧場に大きな損失が出ていますから、獣害とみなされます。
(育成牛、一頭あたり約50万。飼育にかかる費用は年間で75万以上)
酪農家は見込んでいた収益がなくなります。
漁師が船を失うようなもので、ないと仕事にならない。
また家畜を襲っているということは、それを飼う人間と遭遇する可能性が極めて高い。
人命を守るという点からもoso18は駆除の対象になります。
なのに何で?
オソは捕まらないのです。
人に害をなす前に対処しようと標茶厚岸の両町が動き、北海道猟友会の支部も協力してオソを追いました。
しかし、捕まえることはできませんでした。
オソの特徴
オソは明らかに他のヒグマとは違います。
- エモノに執着しない
- 内臓だけを食べる
- 食べないのに殺す
- 罠が効かない
- 異常に用心深い
エモノに執着しない
オソは食べ物に執着しないんだ。
クマの特徴として「食べ物に執着する」というのは知られています。
「拾った物はオレの物、奪った物はオレの物、オレの物もオレの物」という。
まるでジャイアンだな。
ちなみに奪い返そうとすると殴られます。
筋肉の塊に殴られると人間のもろい体がどうなるかは、これまでも説明してきました。
奪い返した大学生たちがヒグマに追い回されて3人の死者が出た話
ヒグマは平均2mの巨体ですから維持には相当のエネルギーが必要で、食糧に固執するのは自然なことといえます。
そのため、エサを見つけるとその場所に戻ってくる習性がある。
しかしオソは戻ってこない。
食べ物に執着しないのです。
これは全く新しいタイプの熊といえます。
内臓だけを食べる
オソの特徴②牛の肉や内臓をほんの少しだけ食べて後は残していく。
クマの専門家は「食べるために殺しているというよりはいたぶっているようだ」と述べた。
そんなことある? サイコパスみたいな
サイコパスが誤解されるからよせ
食べないのに殺す
クマには食べきれないエサを地面に埋める習性もあります。保存食にするんですね。
オソはこれもしない。
いつでもエサがとれる、とでも言いたげです。
罠が効かない
これまでオソを捕獲するためにヒグマ対策用の罠を設置してきた同町。
しかしオソは罠にかからない。
どころか、目撃されたことすらないのです。
これまで65頭もの家畜を襲っているにも関わらず人に姿を見られていない。
ジェボーダンの獣みたいだな…
肉眼で視認されたことはありませんが、一度だけ2019年に標茶町が仕掛けたカメラに写りこんだことがあります。
その姿がこちら。
毎日新聞より引用
人間が仕掛けた罠。その前を悠々と歩くオソ。余裕が感じられます。
罠にかからない理由について地元の漁師は「おそらく幼少期に他のクマが罠にかかるところを見て学んだのでしょう」と。オソは罠の仕組みを理解しているという。
異常に用心深い
でもデカいと目立つだろ? 何で見つからないの?
人を避けているのです。
クマは鼻がいい。犬の7倍あるという嗅覚でうまく人を回避しているようです。
人間側からは分からなくても、向こうは人間の位置が手に取るようにわかるということだ。
人に見つかれば殺されると理解しているのかもしれません。
OSO18まとめ
両町だけでは対処しきれないとして、現地にはOSO18捕獲対策推進本部が設置された。
北海道、クマの専門家が集まり、オソを捜索。
19年から3年あまり。未だにオソは捕まっていません。
ところで北海道にはもう一頭、問題児がいたのをご存じか?
ご存じでない! もう一頭⁉
漆黒のRTと呼ばれるヒグマです。こちらは飼い犬ばかりを狙い、住人を恐怖のどん底に突き落としました。白昼の住宅街に堂々と現れて犯行に及ぶので、知床半島は恐怖に震えたー。
母親を目の前で殺された子熊が復讐の獣と化した。漆黒のRTはこちらで。
追記
2023年7月30日釧路管内釧路町仙鳳趾オタクパウシの牧草地でoso18はハンターによって駆除された。同年8月21日に報道。釧路総合振興局もoso18と同一個体であることを確認したと同月22日に発表した。
oso18により襲われた牛は66頭にのぼり、畜産被害は2000万にもなるという。
当サイト「クマの動物研究」ではヒグマやツキノワグマの事件を専門に扱っています。ぜひご回覧ください。