岸田首相が21日の会見で「牛乳の消費に協力を」と国民に呼びかけた。これは牛乳の過剰供給で大量の雑損が出る見通しであることを受けてのもの。
年末年始にいつもより牛乳を一杯多く飲み、料理に乳製品を活用してほしい
ー岸田首相
牛乳が余ってるの?
らしいね…。
でも牛乳なら家でみんな飲むんじゃないの?
というわけで今日は今起きてる「酪農異変」について。
今年の巣ごもり需要でスーパーの売り上げは増えたという。ご家庭の牛乳の消費量は変わってないはずなのに、なぜ牛乳が大量に余っているのか?
ニュースが語らない裏側を調べてみました。
牛乳があまっている話
引用:農林水産省
このデータを見ると去年は生乳の生産量が増えているのがわかります。
令和2年4月に緊急事態宣言が発令され、街から人が激減しました。巣ごもり需要がのびはじめた時期ですから、スーパーやコンビニの牛乳も売れた。この状態が続いているわけです。
つまり…。
生乳の生産量は増加傾向で維持されている。
お家でわたしたちが飲む牛乳の量は減るどころか増えた。
従来であれば、ちょうどつりあいがとれる状態のはず。
それが大量にあまっているのはなぜか?
あ…みんな外食しないから?
そう。外食用と学校給食用の牛乳がロスになっているのです。
なぜ余っている?
飲食店や学校に向けて出荷する予定だった牛乳たちが受注されずに行き場を失っている。
とうぜんのことながら「きょう全国の学校給食で牛乳が100トン要るのでくださいな」といきなりいっても手配はできませんよね。
酪農家は今年はこれくらい要るだろうなと予想しながら牛を飼育するわけです。
「これくらい要る」の中にはお店や学校で消費する分も含まれる。
そのあてが大きく外れた。
どうして外れたの?
飲食店と給食の需要が消えた
飲食店の場合
- 飲食店が潰れた
- 潰れてはいないが客が減った
- 客が少ないから発注量が減る
- 受注がないから業者も仕入れない
- 牛乳があまる
去年は苦しい中でもまだ持ちこたえている店も多々あった。それが一気に倒れた。
飲食店のみならずホテルなどのサービス業でも同じことですね。
お客さんがいなければモーニングやディナーも出す必要がないわけですから。
閉店ラッシュで需要が減っちゃったんだね
そう。そして学校給食。
これはでかい。なんせ給食でかならず出るのが牛乳ですから、「給食がない」期間が長かったので大量のロスがでる原因に。
おかずやデザートに使われる牛乳も…。
プリン!
シチューにミルクチャウダー!
個人的には通販で販売して頂きたいほど。
美味しいですよね学校給食。
企業さん、なんとかならんものか?
仮に今から企画しても作る頃には牛乳が腐ってるんじゃ。
なるほど。だから「今、牛乳を飲んで」なわけだ。
飲んだ。
そのままでは飽きるので…。
コーヒー牛乳で。
うん。美味しい。
酪農家さん、ありがとう。
一部のスーパーでは給食用の牛乳が売られているそう。立ち寄った際には日配コーナーをのぞいてみては。
ミルク社会の差し迫った現状
さて美味しく頂いたところでミルク業界の実情をみてみましょう。
日本の国民のワクチン接種率が8割を超えたとは言え、未だ外食や旅行はお控えムードが続いている。
もちろん去年のゴールデンウィークに比べればずっと人出は増えました。
でもまだ少ないなと感じる。
おっ、飲食業のリアルな声。
控えなさいと言われたわけではないけれど遠方に遊びに行くのは。
まだ、うーん。
という感じ。
また、先のことを考えると(うちの会社だいじょぶかしらとか)、旅行より貯金にはげみたくなる。今はそういう微妙な時期。
旅行しないとご当地ソフトも売れない。
つらみ。
酪農異変
去年はコロちゃんショックで日本中の観光業・産業に大打撃。牛乳や乳製品だけでなくあらゆる食品が余っていましたが、今回のミルク問題はかなり深刻な様子。
一国の首相が呼びかけるぐらいには業界全体が危機に陥っている。
どこの農場が危ないとか、あの会社がヤバいとかいう話じゃないんだ。
酪農異変と呼ばれている。
ミルクサプライチェーン全体で取り組まなければならない問題。
誰にも飲まれないと大量の牛乳や乳製品が捨てられることになります。
ミルク…サプライ?
ミルクサプライチェーン
生産者、加工業者、輸送、卸売、販売、消費まで。
業界一丸となってのりこえなければならない状況なんですね。
対処はできなかったのか?
こうなる前に手をうつことはできなかったのかな。コロナは去年からあるんだし。
なるほど。生産を制限すればいいということだな。
牛のお乳は止めてはならない
ネットでも同様の意見を見かけました。
しかし、酪農家には生産を止めるわけにはいかない事情があるのです。
牛は搾乳を辞めると病気になってしまう。だから朝と夕方にお乳をしぼる必要があるんだ。
牛を健康に保つためには必要なことなんだね。
なら牛の数を減らすなり、事前に対処できたのでは?
という声もみかけました。
それって牛を殺すってこと?
まあ食用になるからムダにはならないが。乳牛は肉質が固いのでレトルトのカレーなどになるようだ。
しかし牛を殺してしまったら来年はどうするのでしょう。
乳牛は育てるのに数年かかりますから、供給量が減る、つまり牛乳不足になる可能性がある。
牛乳が不足したら、どうなるでしょうか。
パックの牛乳はもちろん牛乳を使う料理や菓子、バター、ヨーグルトやアイスなどが作れなくなってしまう。
結果どうなるかというと、そう、値段があがりますね。
そういう事態を避けるためにも牛の数を減らすわけにはいかないのです。
酪農家に多大な負担をかける
ここまでは私たち消費者側の都合。酪農家はもっと深刻だ。
牛を潰しちゃったらそれまでだもんね。来年また新しい牛を買わなくちゃいけない。
そう、乳牛なら飼っているかぎり商品を生み続けてくれますが、食用に売ってしまったらそれまで。何も生み出しません。
酪農家にとっては、牛を処分すればいいという問題ではないのです。
バターはあまっている
こういうお声もありました。
牛乳飲め~って呼びかけるんじゃなくて、高騰してるバターにして安く供給できるようなシステムを作ってくれ!そういうのをするのが政治じゃないのか?!って思ったのは私だけだろうか?w
— めざし (@mezasi22) 2021年12月22日
ん? バターは足りてないの?
家庭用はな。不足している。だが業務用は…
積みあがっている。
業務用バターの超過在庫
業務用のバターはちょーあまっているのだ。こういう理由で。
- 輸入しすぎ
- 作りすぎ
- あまりすぎ
海外から輸入しすぎ。コロナの影響で例年より3割減らしたが、先述のとおり飲食店の低迷や学校給食のストップなどが原因で、それでも大量にあまってしまった。
そこに加えて増えすぎた牛乳の、乳製品への用途変更が実施された。
つまり、あまった牛乳を保存のきくバターに転用した。
結果、バターの在庫がつみあがってしまった。
なら業務用を家庭に回せばいいのに。
業務用と家庭用ではサイズがぜんぜん違う。熊ちゃん、ワンポンドのバターを買おうと思うか?
450g…。カットされてないし使いづらそうね。
だったら家庭用ばかり作ればいいじゃんと思いそうですが、それには設備から変えなくてはならず、これもうまく切り替えができない。
また一般のバターは有塩が多いですが、製菓用は無塩。あまっているから業務用をスーパーで売ろう、というわけには中々いかないのが実情。
高いですしね。
実際には業務用のどでかいバターを売っているスーパーもある。購入にためらいがないなら買って応援したいな。
とはいえワンポンドは大きすぎる。小分けが得意な企業が間にはいれば解決しそうな問題なので、ぜひどこかの会社に頑張っていただきたいですね。
わたしたちはどうすればいい?
熊ちゃんたちにできることは?
牛乳を飲むことだね。
もう一杯。
せっかくだし料理にも使いたいね。何か作ろうか。
いいね。カッテージチーズは?
はてなブロガーのちまたきさんが自宅でカンタンにできるカッテージチーズの作り方を紹介されています。家にある材料だけで出来るので今夜のおつまみにくわえてみては。
カッテージチーズでサラダはいかが♫
引用:腸を温める食事法
今の時期はベビーリーフと苺がおすすめ。
お試しあれ。
▼牛乳とは