先日、北海道の山で男性2人がクマに襲われた事故について。詳細をまとめています。
去年ヒグマが市街地に出没して騒動になったばかりの札幌市で、再び熊害事故が起こりました。ただし今回は人間がクマの住処に入って起きた事故。
事故の経緯
2022年3月31日、午後2時頃。
札幌市の三角山で男性2人がクマに襲われて重軽傷を負った。
三角山の山頂から西方面へ500mほど進んだところにヒグマの巣穴があると目撃情報が寄せられたため、同市の職員や委託業者の男性5人が調査していた。
巣穴から出てきたヒグマに男性2人が襲われ、腕などを噛まれて骨折した。
一行がクマ撃退スプレーをかけるとクマはその場から退散。
- 40代の男性が頭に怪我
- 50代の男性が腕を負傷
どちらも自力で下山し、命に別状はないとのこと。
市は三角山の登山口をすべて封鎖。現在も入ることはできない。
翌日、改めて調査が行われた
巣穴の中に2頭の子熊が確認された。
逃げたのは母グマとみられている。
人を襲ったクマは殺されるって聞くけど駆除されるのかな…?
母グマは子熊を守ろうととっさに防衛本能で襲ったものとみて、市は駆除はしない方向で、代わりに動向を見張るため巣穴の付近に監視カメラを設置。
その後、母グマの姿は映っていない。
2022年4月13日、2週間が経過ー母グマが戻ってきた様子はない。
お母さん熊、どうしたんだろう?
罠にかかったり転落したり事故の可能性も考えられなくはありませんが、巣穴を捨てた可能性も。
いきなり複数の人間を目にして驚いたでしょうし、ましてトウガラシスプレーをかけられては恐慌状態に陥ってもおかしくはない。
クマは非常に慎重な生き物で人間を怖れます。
巣穴には子供が…。
エサを得られず暖もとれずに2週間。子熊はすでに死んでいるものと思われる。
……。
クマのメスは冬眠中に出産し、4月下旬から5月上旬にかけて巣穴から這い出てくるのでこれからの時期は注意が必要。
何度もとりあげてきたように「子育て中の母グマ」は非常に危険です。
精神的に過敏になっており、子熊を守るために先制攻撃をしかけてくる可能性もあるので見かけたら静かに立ち去るのが吉。
この事故を受けて北海道はヒグマ対策室を設置。
専任の職員も1人から4人に増やして被害ゼロを目指すと公表。
参考記事
クマに襲われて2人けが、札幌市の三角山で巣穴の調査中…1人は頭、もう1人は腕を噛まれる(HBCニュース) - Yahoo!ニュース
2021年はヒグマの被害が多かった。
北海道全体で3月末までの1年でヒグマに襲われて4人が死亡、10人が負傷するなどの大きな被害が出ています。
何でだろう?
クマの好物であるどんぐりが令和2年は不作だったんだ。
堅果数、堅果の平均重量ともに平均値を下回る不作年。
クマの食べ物はどんぐりだけではないですし、他の要因もありますが、エサが不足して市街地に現れるクマが増えました。
令和3年は目撃情報があがっています。
引用:道警北見方面本部公式HP
去年9月には札幌市内でヒグマが逃げ回り、4人の怪我人が出ました。帰り道が分からなくなったとみられ、自衛隊の丘珠駐屯地に乱入、自衛官をぶっ飛ばして爆走。
札幌は今も昔も多いな、ヒグマ事件が。
丘珠といえば明治時代にも同様にヒグマの巣穴をのぞいて殺された猟師がいました。日本史に残る大きな事故です。こちらもどうぞ。
さっき他にも原因があると言っていたけど?
これは札幌市に限ったことではありませんが、北海道全体でヒグマの目撃情報が増えている。昔に比べてヒグマが市街地におりてくるようになった、ということです。
人間は森林を伐採し、住宅地を作る。
クマたちが近づいているのではなく、わたしたち人間側がクマの領域に足を踏み入れている。
さらに観光客がクマにエサをやったり距離を縮めたりする場合もあり、人間をみかける機会が増えて、クマたちの習性も変わっている。
他の動物と違い、クマは学習する生き物です。
100年前のヒグマと令和のヒグマでは習性が変わっている可能性があります。仮にそれを進化と呼ぶなら、現代のクマたちは人間を怖れない、今の時代に適応した新しい生き物ということになります。
新世代のクマは近年増えている
いま北海道で騒がれているオソ18もそうです。
数年間、家畜を襲い続けているにも関わらず未だ一度も人間の目に触れたことがない。これほど用心しているということは人間がどういう生き物かを理解し、また罠にもかからないことから仕組みを理解しているものと思われます。
人間に見つかったら駆除される、と現代のクマたちは知っているのです。
数年前に秋田の十和利山で新世代のクマが事件を起こしたよね。
これからもどんどん増えるだろう。都市開発が進むにつれてな。
というわけで今回は札幌市で起きた三角山クマ巣穴の調査事故をまとめました。
この「クマの動物研究」では主要な熊害事件は国内外ともに網羅しております。多くの事件が凄惨を極める内容なので閲覧には十分注意してください。
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