今回は人魚。存在するのかしないのか分からないUMA(未確認生物)とは違い、おとぎ話の中の存在。実は作り話だけではなく世界中の伝承の中でその姿が語り継がれています。
7つの海で古来から語られる人間と魚の身体をあわせもつ存在、人魚。その正体は?
人魚とは
人魚とは水中に生息する伝説の生物。ヨーロッパの人魚は上半身が人で下半身が魚類である。また裸のケースが多い。
アニメなどでは美しい人魚姫のイメージで描かれているが、人類の歴史という観点から見ると人の「死」に結びつく精霊である。
人魚の美しい歌声を聞いた者は海に引きずりこまれるという。
フェアリーテイルの人魚
おとぎ話と言えばヨーロッパ。とりわけ妖精譚が多い英国には人魚伝説が多い。
16世紀頃のイングランド民話に出てくる人魚はメロウといいます。男女の人魚で、女性は美しく男性は醜い。
メロウが多く棲むアイルランド
人魚伝説で有名なアイルランド。
人魚が出没すると海が荒れるので船乗りたちは早々に帆を畳んで帰港します。
アイルランドでは人魚と人間の距離が近く婚姻も行われてきたという。メロウとの間に生まれた子どもの体にはウロコがあり、手指は水かきに似ているのだとか。
閉鎖的な島や村などでは近親婚が多く、奇怪な体型や体質になる場合もあると聞くのでそういうこともあるかもしれませんね。
真相は現地に行って確かめるしかありませんが、日本でもそういう噂は各所にあります。犬と結婚した村とか。
世界の人魚たち
英国以外にも、人魚はヨーロッパ各地で登場しています。例えばドイツのセイレーン。
航海者を美しい歌声で惹き寄せ、難破させるという人魚。鳥人間の姿で描かれることもある。
ドイツのセイレーン伝説で有名なのがローレライの魔女。
海につながる大河に美しい姿で現れ、船を沈めたという。
実際に事故が多発し、地元の船乗りには危険な川と恐れられていた。
セイレーンが生まれた意味
セイレーン、元は「サイレン」という単語から生まれたという説が。
※諸説あり。
サイレン、つまり警報。
海では女に注意せよという意味。女にうつつを抜かしていると船が沈むという警告から生まれた存在、それがセイレーン。
昔のヨーロッパでは船に女性が乗ることは禁忌だった。
船員同士でトラブルになるのを防ぐなど明確な目的からで、女性を船に引き入れないよう恐怖のイメージを植えつけたものと思われる。
では人魚はおとぎ話なのか?
そうと決めつけるには、ヨーロッパに留まらず、中国や日本にも古来から人魚伝説は存在します。
海の生物ジュゴンに見間違えたのではないかという説もありますが…。
学術的な根拠があるわけではなく、ジュゴンがいない地域でも人魚伝説があることからすべてが見間違えというのは成り立ちません。
日本に限って言えば「魚類のリュウグウノツカイ」が人魚の正体だろうと、九州大学名誉教授の内田氏は推察している。
美しさと恐怖は対で描かれることが多く、実際の人魚は恐ろしいイメージで描かれていますが、人魚の「女性」「魚」「蛇」は豊穣と再生のシンボルでもあります。
スターバックスのロゴに描かれている女性も人魚。
世界の人魚のまとめ
世界の人魚について解説しました。当サイト「クマの動物研究」では幻想世界の生き物から自然に住む生物までとりあげています。共通するのは「危険」であること。
よければ読んでみてください。