今夜は世界三大事件のひとつ、「ツァボの人喰いライオン」です。
世界の人喰いワーストランキングで五位。史上まれにみる被害をだしたこの事件。
何があったのか、時系列で詳しく経緯を見ていきます。
なお、かなり長いので目次を用意いたしました。
ツァボの人喰いライオン
1898年3月~12月、当時イギリス領のアフリカ(ケニア)のツァボ川付近で起きた。ウガンダ鉄道が新線を敷くための工事の最中において2頭のライオンが現れ、作業員28人を食害した。
登場人物
- ジョン・ヘンリーパターソン
鉄道現場総監督。ライオンに悩まされることになる。
- ブロック
パターソンの部下。
消える労働者
ジョン・ヘンリーパターソン(以降パターソン)が赴任してきて不穏な噂が工事現場の裏側でささやかれていた。それは…。
労働者が消えた。
関係者たちは「どうせ逃げたんだろう。よくあることだ」と言って気にも留めなかった。ただすでにこの時、近隣の村ではライオンによる被害が出ていた。
ウガンダ鉄道はケニアとウガンダをつなぐ新道の設立に着手。この工事の総監督という任についたのがパターソンであり、彼はツァボ川の架橋工事現場におりたったばかりだった。
最初の被害
事件が始まったのは3月の夜だった。工事現場で働く労働者たちが寝泊まりするテントに突然、大きな獣が現れた。
テントには6人がいたが、ひとり不幸な者が連れ去られた。
報せを受けた責任者のパターソンは部下たちとともに労働者を捜索した。地面には血の跡が点々とついていたから行方を追うのは容易だった。
やがて労働者の遺体らしきものを発見した。
それは原型をとどめておらず、2匹のライオンがエモノをとりあったのは一目瞭然であった。
人の裏をかくライオンたち
労働者が襲われたことで、翌日パターソンは銃をもち木の上で寝ずの番をした。
夜半、ライオンの声がした。パターソンは身をかたくして襲来に備えたがしばらくしてうなり声は消えた。ライオンは現れなかった。
しかしこの時、別の場所で被害が出ていた。
翌日、パターソンは労働者のひとりがライオンに連れ去られていたことを知る。
ライオンは12キロから13キロの距離を移動する。行動範囲が広すぎてどこに出没するかを予測するのは不可能に近かった。
しかも労働者たちのテントはお互いに離れていた。なんせ2000人から3000人が工事に従事していたという。
各テントは草原にバラバラに設営されており、それは簡素なもので当然のことながら塀などはない。ライオンから身を守る術がないままに野にさらされた状態であった。
忍び寄る足音
パターソンのテントも例外ではなく、平地にあった。
ある夜、同じテントで寝泊まりしていたパターソンの部下が何者かの気配を感じて外に出た。そこには誰もいなかったが、朝になって再び外に出てみるとテントの周辺にライオンの足音が残っていた。
「ここは危ない」
パターソンの言葉に部下も頷いた。
「場所を移しましょう」
パターソンたちはすぐにテントをとじて移動した。
ボマ、と呼ばれるイバラで出来た垣根が囲む家に入った。
労働者たちのキャンプ地にもボマが張り巡らされるようになったが被害は止まらなかった。
3晩ごとに届く訃報
また労働者が消えた。2晩~3晩ごとにその報せが届いていたが、労働者の多くはまだ楽観的だった。
2000人~3000人いる中で自分が犠牲になるとは思っていなかったようだ。
狩りが始まる
訃報が届く中でも工事は着実に進んだ。
橋に架かる線路はほぼ完成し、多くの労働者はその先の土地に移動して工事を続ける。パターソンは200人~300人の労働者とともに橋のたもとに残り、仕上げ作業にとりかかった。
残留組はまとまって11か所でキャンプした。そのためライオンもここに集中した。
テントにおしいり人間を襲う。あるいは闇夜から音もなく現れて、用をたしていた者をつれさっていく。
いつの間に消えている隣人。
日ごとに仲間が消えていく状況に、さすがに労働者たちも恐怖を覚えるようになっていた。
「こんなところにいられるか!」
国に帰るという労働者たちをパターソンは慌てて止めた。
「頑丈で高い塀を作るから考え直してくれ」
テントの周りに頑丈なボマを敷くという条件でなんとか労働者たちを留めることに成功する。
そしてボマが作られ、それ以外にも鳴子を鳴らしたり火を焚いたりしてライオンの襲撃を阻止すべく対策をとった。
だが、それでも被害は止まらなかった。
ライオンがボマのスキマから侵入し、病院テントを襲ったのだ。
療養中の患者が2人死傷した。
「なんてことだ…」
これを受けてパターソンは病院テントを比較的安全な中央部にうつした。まわりには他のテントがあり、いくらかは狙われにくいだろうという判断だったが、ライオンたちはまたしてもパターソンの裏をかく。
再び病院テントが襲われて1人がさらわれた。
ライオンとの対峙①
パターソンはライオンを駆除するために有蓋貨車(列車)を一両置いた。その中に入り、夜も寝ないで見張りをした。
すると早速ライオンが現れた。
パターソンと部下のブロックが銃をかまえて発砲。
命中はしなかったが、ライオンは驚いて逃げていった。
思わぬ人間の逆襲と重火器の威力におののいたのか、この後しばらくライオンたちは現れなかった。
罠をしかけるが捕まらない
この間にパターソンたちはライオンを捕まえるための罠を考えた。
ねずみとりのような仕掛けにエサを置いてみたが、そもそもライオンが現れなかったので効果はなかった。
ちなみにライオンたちは別の村に現れていたが、ツァボ工事現場に近づかなくなったので労働者たちは安堵しきっていた。
地獄絵図
ライオンが現れなくなって数日が経過していたー。
その夜はひときわ暑かったので労働者たちはテントの外で寝ていた。毎日の作業はきついが、ライオンは現れないし誰もが安心して眠ることができた。
月がじんわりと平野を照らす。
それは足音もなく近づいていた。
「ぎゃあああああ!」
突如、悲鳴が闇をきりさいた。
みなが跳ね起きると黄金の獣が仲間のひとりを引きずっていくところだった。人喰いライオンだ。
労働者をくわえて草むらの方に移動したかと思うと、もう一匹が現れてなんと大胆にもその場で食べ始めた。
人間の骨がくだける音、肉を咀嚼する音が聞こえてきた。
止める術をもたない労働者たちはどうすることもできず、ただ震えているしかなかった。
狩りに慣れたライオンたち
パターソンや部下たちが見回りを強化しても、ライオンたちはその裏をかいて労働者を1人、また1人とさらっていく。
すっかり狩りに慣れたようでその行動もあの夜から大胆になっていた。
それまで狩りは1頭が行い、もう1頭は離れた場所で待機していた。これは敵を警戒しての行動だと思われる。だが、今では2頭で狩りを行い、それぞれ戦利品をくわえて去っていくようになっていた。
大型キャンプが襲われる
人を怖れないようになっていたライオンはたくさんの労働者がいる大型キャンプを襲った。さらわれた人が今度は皆の目の前で食べられた。武器をもっていた者が50発以上も発砲したが、ライオンはどこふく風で悠々とその場で食事を続けた。
工事がストップする
目の前で仲間を食べられた労働者たちはついに作業を放棄して国に帰ると言い出した。
「こんなところにいられるか。働くためにきたのであってライオンのエサになりにきたんじゃない!」
多くの労働者が帰国したために工事はストップした。
悪夢の終わり
12月10日
ある日、ライオンがロバを襲った。
パターソンが発砲したためにライオンは逃亡。ロバは少しかじられただけで再び食べにくると彼は判断し、待ち伏せすることにした。
予想通り現れたライオンに注意深く発砲。
これが命中し、一頭が死んだ。
このライオンは鼻から尾の先まで2.9mの大きさだったという。
ようやく脅威を減らすことに成功した人類は、ヤギをおとりにしてもう一頭をおびきよせた。
待ち構えていた人間たちが銃口をむけたのでライオンは逃げ出した。藪の中にとびこんだが銃は火をふき続けた。
銃声がやんだあと、人々が地面をみると血の跡が続いていた。
敵は相当なダメージを受けていると思われた。
数日後、再び現れたライオンにパターソンが発砲。
頭と胸に弾を受け、絶命した。
悪夢は終わりを告げた。
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