クマの動物研究

世界の猛獣事件を研究中

福岡大学ワンゲル部ヒグマ事件がなぜ起きたかを考えて事故防止に生かす


福岡大学ワンゲル部ヒグマ事件のまとめです。
※当時は同好会ですが便宜上ワンゲル部と呼びます。


事件の詳細は前記事でお話しました。福岡大学の学生5人が遠く離れた北海道の山に登り、1頭のヒグマに日夜追いかけまわされて、3人が喰い殺されるという無残な事件。

事件はなぜ起きたのか、ヒグマの習性をみながらひとつひとつ考察していきます。

福大ワンゲル事件なぜ起きた?

福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件。なぜ起きたのでしょうか。
原因はいくつか考えれています。そのひとつがヒグマから荷物を取り返したこと。

学生たちは荷物を漁っていたヒグマを追い払いました。この行動が問題のクマに狙われる大きな原因になった。

ヒグマは執念深い

ヒグマは執念深い生き物です。自分の物を奪われるとそれを取り返そうとする習性がある。

もちろん荷物は学生たちの物ですが、ヒグマが手中にした時点で、彼の物になったわけです。つまりヒグマは自分の物をとられたので何度もテントを襲った。取り返そうとしたことになります。

この行為がヒグマへの敵対行動になったのです。

ヒグマの能力の高さ

その後、身の危険を感じて山をおりようとした5人をヒグマは追いかけます。
真っ暗な山の中。懐中電灯もなしに熊は正確に人間達を追跡、つかまえていますね。これはヒグマが鼻が効くため。

犬の七倍もの嗅覚があるといわれています。
しかも走るのも速い。最高時速なんと50キロ~60キロ。
5人は簡単に追いつかれてしまったわけです。

ヒグマは犬と同じで逃げる者を追いかける習性があります。
ヒグマ自身にもどうすることもできない、いわば本能であり、たとえエサを食べている際中でもエモノを追いかけます。

ヒグマに遭遇した時は背中を向けない。走らない。
逃げてもつかまります。
あのウサイン・ボルトよりも早いのですから。

では、どうすればいいのか?

再発防止のためには

向こうがこちらに興味を示していない場合
刺激しないようにそっと立ち去ります。
背中を見せずに後ずさりして。

こちらに近づいてくる場合
人間だと認識していない場合があるので高い所にのぼり、両手を大きくふったり、穏やかに話しかけたりして人間であることを知らせましょう。

クマに人間の言葉が分かるのか?
専門家によらば言葉は分からなくても敵意がないことと、人間だということは分かるそうです。人間だとわかれば、たいていは逃げていくのだとか。

できるだけ熊を刺激しないように。大声で騒いだり石を投げつけるのはやめましょう。
※敵だとみなされたらおしまいです。

複数人の場合はみんな固まって行動を
クマさんも人間は怖いんです、集団ならなおさら。
バラバラになると向こうは襲いやすくなるので一致団結で防衛!

まれに捕食目的で近づいてくる場合もあるのでクマ撃退スプレーを準備しましょう。

いちばんいいのは遭遇しないことですが。
どうしても山に入るなら熊の目撃情報を調べておきましょう。

クマの情報が事故を防ぐ

九州人の彼らは、こういったヒグマに対する知識が乏しかった。そのためにヒグマから荷物を取り返そうとしたし、ヒグマが立ち去った後も山に留まり続けた。

最初の遭遇で荷物をヒグマに預けてすぐに下山していれば、結果は違っていたかもしれない…。

現に他の大学のパーティはヒグマに襲われた直後に荷物を放棄して下山している。

しかしそれは、たらればの話。

ある記事の最後には「責められるべきは彼らの情報不足ではなく、危険を示す詳細な情報が世に不足していたことだ」と記されていました。

ヒグマの生息地を調べる、地元の情報を事前に集める、遭遇した場合はどう対処するべきか。
そのためには何が必要か。

インターネットがなかった昔と違い、情報にあふれかえった現代ならば、細かくリアルタイムで現地の状況を把握することも可能です。
これからヒグマの住む山に入る予定のある方は、入念な下調べをしてから挑みましょう。



八の沢カールには追悼のプレートがかけられ、そのプレートには追悼の句が記されている。

「高山に眠れる御霊安かれと挽歌も悲し八の沢」

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